特集・女性と健康〜わたしのからだはわたしのもの〜
 

 10月8日〜9日の2日間、日南市文化センターをメイン会場に、「みやざき男女共同参画フェスタ2005in日南」が開催されました。参加者とともにたくさんの学びを広げ、深め合った2日間を報告します。

女性のライフスタイルの変化と健康
川口則子氏写真  「広げよう!深めよう!男女共同参画の輪〜太陽と海、緑豊かなふるさとからの発信〜」をテーマに開催したフェスタは、約1400名の参加をいただき盛会に終えることができました。それぞれのテーマを 掲げた 5つの分科会では、4か月間の真剣な取り組みを報告することができ、また、新たな課題もいただきました。今回、私たちが学び得た経験と喜びが今後の充実した活動へとつながることを心より願っています。

(1)個人の部

○江夏 由宇子 (都城市)
・宮崎県婦人問題懇話会委員及び宮崎県女性の未来を考 える懇話会委員として本県の女性行政の推進に尽力した。
・ 都城市男女共同参画推進懇話会会長として、「都城市 男女共同参画計画」及び「都城市男女共同参画社会づく り条例」の策定において中心的な役割を果たした。
・都城市男女共同参画社会づくり審議会委員として、 「ウエルネス都城男女共同参画都市宣言」に寄与した。

○黒木 年枝  (日向市)
・日向市女性懇話会会長として、女性行政の推進を図るとともに、日向市男女共同参画社会づくり懇話 会委員として、男女共同参画行政の推進に尽力した。
・「日向市女性基本計画」及び「日向市男女共同参画プラン」の策定に尽力した。
・日向市女性センター「さくら館」(現日向市男女共同参画社会づくり推進ルームの前身)及び日向市男女共同参画社会づくり推進ルーム「さんぴあ」の設置に貢献した。

○平田 嗣子  (宮崎市)
・木花地域婦人会会長及び宮崎市地域婦人会会長として、長年にわたり婦人会活動を指導し、地域での 男女共同参画活動に取り組んでいる。
・婦人会活動を通して、地域に密着した問題提起を行い、女性の声を市政に反映させるため尽力してい る。


(2)団体の部


○特定非営利活動法人みやざき子ども文化センター(宮崎市) 代表者  片野坂 千鶴子 外山 與子

・男女共同参画の視点から、子育て支援講座や中心市街地での託児事業、子ども専用電話「チャイルドラインみやざき」、子どもの社会参画を支援する「十代のベビーシッターボランティア養成講座」などを実施し、親と子に多面的な支援を行っている。

(3)事業者の部

○株式会社 宮崎銀行 (宮崎市) 代表者 佐藤 勇夫

・介護休業制度について、法を上回る1年間の休業取得を可能とするとともに、産前・産後休暇及び育児休業取得中の職員の代替要員を確保することにより、社員の仕事と家庭の両立支援に取り組んでいる。
・入行後3年間で一通りの係を経験させるジョブローテーション制度や勤務地・部署・職種等の自己申告制度の実施により、女性の能力活用に努めている。

○学校法人 旭進学園 (宮崎市) 代表者 佐藤 和秀
・管理職に占める女性の割合が3割強と高く、女性の能力活用に積極的に取り組んでいる。

樋口恵子氏写真

女性問題・高齢化問題評論家 東京家政大学名誉教授 樋口 恵子 氏
高齢化社会の到来、人生 100 年社会といった新しい価値観の中での新しい地域社会づくりに必要な男女共同参画の考え方(男女の対等なパートナーシップ)などについて楽しくお話しいただきました。

この 10年でなくしたもの・得たもの

この 10 年でだめになったこと、嫌になったこといろいろありますよね。この10年のワーストを私が挙げるとすれば、まず「雇用の劣化」です。これは女性の地位にも関することですが、男性の方もニートだとかフリーターだとかいって、非正規雇用が非常に増えている。少子化だなんていったってお父さんフリーター、お母さん派遣社員でこどもが産めますか?こどもが6歳になったとき、ランドセル買ってやれるかどうかわからないところで誰が産めるか、という話です。

この 7 年間、自殺者は 3 万人という大台から減っておりません。この自殺というものはまさにジェンダー(文化的社会的性差)による男の不幸を目の当たりにするものです。3 万人のうち7割が男性です。一家の大黒柱であるお父さんがリストラにあったり、借金に苦慮したりする世の中です。自分の生命保険で借金を返してもらいたいという遺書を書いて死んでいくお父さんもいるのです。この時、お母さんも同じ立場で働けていたら、自殺者は減ると思っております。

良いことを見ると、この 10 年くらい 21 世紀型の法律ができた時代もございません。私の関わった法律だけでも少なくとも 3 つはできています。 1 つ、地方分権一括法であります。地方と国が上下主従の関係ではなく、地方のことは地方で決める。そしてこのことによって行政と住民が同じ目線でこの地域の幸せづくりに励んでいく。その基本が整ったのがこの地方分権一括法であります。

そして介護保険法、民間に市場を開放したためにここまで広まりました。また、この法律は市民会議など住民の参画を促した珍しい社会保険法でもあり、改正により、ますます市民参画の部分が進みます。最近の法律では、このような住民参画のあり方が書き込まれているものがおそらく増えているはずでございます。

それから特定非営利活動推進法でございます。この法律は阪神大震災などをきっかけにして、日本で初めて官が民の存在を認めたもので、今や NPO 法ができて日本中に 2 万何千という NPO 法人ができました。

私はこの 10 年間、本当にいい法律ができていて、これらのキーワードは、“対等なパートナーシップ”だと思っております。国と地方の対等なパートナーシップ「地方分権一括法」。官と民の対等なパートナーシップを示す「特定非営利活動推進法」、個法でいえば「介護保険法」。そして極めつけが今日のタイトル [ 「男性と女性の対等なパートナーシップ」ということでございます。

人生 100年社会

一番大きな変化、それは、今や人生 80 年から 100 年社会を迎えたということです。人生 100 年なんていうのは、すごい可能性に満ちているんです。

また、これからの時代はこどもの時代であると同時に高齢者の時代となります。人口統計では、 2050 年、日本の 65 歳以上は人口の 4 割。そのうち約 6 割が女性です。つまり日本中の国民の 4 人に 1 人は「おばあさん」です。これを「おばあさんの世紀」と言わずして、男性を含めた「高齢者の世紀」と言わずしてなんとしましょう。 4 分の 1 のおばあさんが、今のように社会的弱者といわれる立場で、社会保障もなく、持ち家もなく、資産形成もできず、そして精神的にも「あなたについて行きます」とか、そんなことをいっていたら、 21 世紀半ばの日本政府は貧しいおばあさんの生活保護に追われて何にもできません。

だから私は、今の若い学生、すなわち「 21 世紀のおばあさん」に呼びかけているのです。「 2050 年のおばあさん盛りはあなた方です。あなた方がどのようなおばあさんになっているかが、 21 世紀の日本を左右する。どうぞ日本社会を背負って立つ人口の 4 分の 1 のおばあさんになれるよう、今の日本社会の男女の関係性や、性別役割分業システムをしっかり見据え、仲間を増やして、ノーと言うところにはノーと言い、きちんと対案を出して、男も女も幸せになれる男女共同参画型の社会を紡ぎ上げていく。それがあなた達の今後の人生なのです。私もそれなりにやってきた。どうぞこの意志を継いでほしい。それを昔から“老婆は一日にしてならず”というのである。」と・・・。

12 名の実行委員と約 60 名のボランティアのみなさんが、 4 か月にわたってそれぞれ、テーマ決定から学び、調査研究を重ねてきました。その成果を報告し、参加者と協議しました。
第1分科会報告の様子第1分科会

ともちゃんちの家庭のあり方〜家族で楽しく農業〜
この分科会では、一農家を例として取り上げその家族と周囲を取り巻く人々を寸劇で表現することで、男女共同参画の問題点を提起しました。参加者(約 70名)の中から、家族経営協定のこと、農家の後継者問題、家族でのパートナーとの関係などの課題が提起されました。助言者の李宮崎大学助教授からは、「今日を出発点として、それぞれの男女共同参画の考えを深めていってほしい。またそれぞれの家庭に合った形で進めることも良いが、それが従来の形の踏襲であっては、何にもならない」と指摘をいただきました。(小田穂積)
第2分科会報告の様子第2分科会

発信!日南発 こどもの未来は 社会の未来 
〜ゆとりある子育てをするために家庭・地域・職場でできること〜

子育ての不安に関して「家庭」「地域」「職場」のそれぞれの分野で悩みを分析、社会資源の公的サービスを調べてみました。又、分科会では、地元の子育てサークルの方々を招き、活動の様子を報告してもらいました。これから私たちができることは、一人でも多くの方に情報提供すること、また悩みを受けとめることで、ゆとりある子育てができるのではないか、また子育ての楽しさや喜びが感じられるようになるのではないか・・・。まずは自分たちのできることから始めることです。(井上悦子)
第3分科会報告の様子第3分科会

しゃべっちみろや!きいちみろかい! 〜本音で話せますか?あなたの気持ち〜
自分らしく!本音とは何か!その為に一歩前進することは何か!からのスタートでした。本音で話したい、でも話せない自分、人の気持ちをうまく引き出せるか等不安を感じていた実行委員会でしたが、5つのワークショップではどのテーブルも笑い、拍手、どよめきがありました。73名の参加者の「本音で話せるつぶやきの語り」もみんなで話し合うこと、語り合うことのの大切さと勇気を見つけたことに感謝して、参加者の言葉を大切にしたいと願っています。(壱岐道子)

第4分科会報告の様子第4分科会

女性のトップを探せ!(in日南)
「何故、区長に女性が一人しかいないの?」この一言により本テーマを掲げスタート致しました。まず、日南市の女性トップ(20名)の方々の聞き取り調査をしました。当日はパネラー3名を中心に90名の参加者の方々とフリートークで活発な意見交換を行いました。どこの市町村もあまり大差がない事(女性の参画が少ない事)に落胆致しました。この現実を受けとめて「トップ女性になろう」と提言をし、分科会の活動を継続発展させていきたいと思います。(浅川年子)

第5分科会報告の様子 第5分科会

新しい時代に向き合う自治体とその役割
ジェンダーに敏感な視点で意識改革〜1歩前に踏み出す勇気〜

第5分科会は、県内市町村職員の男女共同参画意識及び理解・浸透度について確認しようとアンケートによる意識調査を実施しました。分科会では、実際に担当者として困難なことなど、この調査を基に、今後の推進と市民との協働について考えました。 参加者からは、市民の立場から行政に感じることなど様々なご 意見をいただき、また助言者のたもつゆかり氏からは、多様性を認め、それぞれの立場を理解し思いやりを持つこと、人権を尊重するといったことがまさに男女共同参画社会を学ぶ事であり、市民と行政が地域を運営していくイコールパートナーとなるためにはそのことが重要であるというお話をいただきました。 今回のフォーラム開催を機に男女共同参画社会の実現にむけて更に一歩前進できるように努力していきたいと思います。 (佐藤由美子)
私のメッセージ「男女共同参画」の学びを支える感受性のちから
たもつゆかり氏写真オフィスピュア代表 たもつ ゆかり
「みやざき男女共同参画フェスタ2005in日南」が、実行委員のみなさんをはじめ多くのみなさんの力によって成功裡に終了した。平成13年度の都城市での開催以来、このフェスタのトータルコーディネーターを務めてきたが、毎回、すべてのプログラムが終了した瞬間、実行委員や事務局の人たちが思わず見せる「涙」の表情に、私は、改めて、男女共同参画社会づくりの輪を広げ、深めていくことの手応えとともに、その困難を思わずにはいられない。数ヶ月に及ぶ活動の悲喜交々が結実するゆたかで尊い涙…この「涙」に集約される想いこそが、男女共同参画社会づくりに向けて求められる感受性のちからであり、今後の日南市においても、その推進を担う基盤のちからに成り得ると、私は確信している。
  このフェスタにおける職務をはじめとして男女共同参画社会づくりに関わる多様な場面を通して、私が常に意識していることは、ジェンダーをキー概念とする男女共同参画社会づくりに関わる「学び方」は難しい…という事である。それは、即ち、学びの場や機会を提供する側の志と力量のありように関わっているのだということであり、そこに加担する者の一人としての責任の重さに対する自戒ゆえの意識でもあるのだが…。殊に、今回のフェスタでは、改めて「学び方」の難しさということと、「感受性のちから」ということへの私なりの思いを深くすることができた。
  実行委員会は、それぞれ立場や考え方の違う多様な人たちで組織される。さらに、男女共同参画に関する関心と理解のありようも各人それぞれであり、その共同学習を主とする活動は、まず、はじめに、自分とは違う他者との関わり方についての葛藤を乗り越えていかなければならない。この点において、毎回のフェスタの実行委員の中に必ず数名、私の感受性に深く響き、不遜な言い方を許してもらえるなら、愛しくてたまらない…と言う想いに駆られる人がいる。これまでの経験を振り返れば、今回のフェスタを含めて「男女共同参画」に関わる多様な学習の場で出会った私にとっての「愛しくてたまらない人たち」は、そのキー概念である「ジェンダー」によって揺さぶられる「自分」…自分の中に沈潜する内なる声を聴かなければならない葛藤に喘ぎながら更なる学習を求め深めていき、やがて「私」という存在のリアリティーに覚醒し…そして、自分を取り巻く他者との関係を読み解いていく中で、「私」と「社会」との接点の意識を獲得していく。そのプロセスこそがジェンダー概念の獲得に向かう道筋であり、そこに、ジェンダーからの解放がある。
  フェスタを振り返るいま、aさんの、Bさんの…「涙」が、「私は私でありたい!」という願いに誠実に向き合う「学び方」を支えた感受性のちからであったことが想い起こされる。この涙に「男女共同参画」の新たな地平は、静かに、確かに拓かれる。


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