ドメスティック・バイオレンスのない社会
● 報 告 ●
 2月12日〜13日の2日間、フェニックス・シーガイア・リゾート ワールドコンベンションセンター・サミットにおいて、「平成16年度 男女共同参画フォーラム in みやざき」が開催されました。快晴の中、大きな収穫のあった2日間を報告します。
「神話の国から未来へチャレンジ 〜新しい波を起こす第一歩〜」をテーマに開催したこのフォーラムは多くの皆様の御参加をいただき、盛会のうちに終えることができました。6つの分科会は、それぞれにテーマを掲げ、この6ヶ月余りを真剣に考え、話し合い、これからの社会づくりについてを学習してまいりました。
 今度は、それぞれの地域で、男女共同参画を考える未来へのチャレンジャーとなり、新しい波を起こす原動力として、引き続き活躍していただけることを願っています。
大阪大学大学院教授
内閣府男女共同参画会議基本問題専門調査会委員
伊 藤 公 雄 氏
 戦後、日本が今日にいたるまでの歩みをふり返りながら、国際的な流れの中での男女共同参画の必要性や、人と人とのやさしい関係づくりについてわかりやすくお話しいただきました。

 ちょうど1970年前後からのこの30年間、国際的に見ても私たち人類の意識が大きく変わった時期なのではないかと思います。マスメディアの発達と国際化の中で、人類は2つの大きな課題に直面しました。ひとつは環境の問題です。経済成長の中、環境のことを考える人などほとんどいませんでした。しかし、今では世界各地でこのままだと自然環境が破壊されてしまうということが議論されるようになりました。
もうひとつは、古くて新しいテーマといわれる人権の問題です。フランス革命の人権宣言の人とはフランス国籍をもつ成人男性のことでした。この人権宣言から女性が参政権を勝ち取るまで約100年かかっています。このような男尊女卑はどこの国でもあった。やっとあらゆる人の人権の問題について議論されるようになったのは1970年代。中でも女性の人権というのは人類の半分が女性なわけですから世界最大の人権問題ということで国際社会が取り組むようになったわけです。
 日本の国会議員・管理職の女性の占める割合は国際的にみて非常に低い状態です。国際競争力に関する調査での、日本の女性の経済活動への参加率75カ国中69位。日本は、20世紀後半、国際社会が本気になって取り組んできた女性の人権に取り組んでいるの?と見られても仕方がない現状です。簡単に言うと他の国より約30年遅れているといっていいと思います。これからは、いろいろな視点で経済活動や社会について考えていかなければならないのに、男性だけの視点で考えている。優秀な女性が育っているのに活用できていない日本は、世界から見るとなんてもったいないことをしているんだ、不況にもなる、となるわけです。女性の人権に配慮した社会が成熟した社会だという国際的な流れは、日本にはまだ通用していないのが現状です。
 なかなか進まない理由としてジェンダーがあります。これは性別による社会的な枠付けのようなものです。一人ひとりはいろいろな能力をもっているのに、「男の子はこうでしょ」「女の子はこうでしょ」と枠付けをしてしまう。この枠付けの多くは人間が作ったものが多いわけです。そして文化や歴史によって差がある。逆に言うと人間が作ったわけだから、おかしいものについては、みんなで話し合って改められることは多々あるわけです。
 人間はパーフェクトではありませんから、ある程度自立しながら助け合う。今までの多くは、女性は経済的に男性に寄りかかって、男性は女性に生活の面で寄りかかってきたわけですけれども、自立した2人が協力し合う。これがこれからの家庭や地域のあり方ではないでしょうか。
 男女共同参画とは男女の均一化などではなく、選択を男女で縛ってきたことをそろそろ止めて、いろいろな選択肢を作り、個性を拡大し、一人ひとりが能力を発揮できる、より豊かで成熟した社会にしていきましょうということだと思います。
約90名の実行委員のみなさんが、約6か月にわたって、テーマ決定から調査研究・討議を重ねてきました。その成果を報告し、参加者と協議しました。
第1分科会 宮崎市実行委員会
どうなってるの!?子どもを取り巻くメ人・もの・言葉モ〜ジェンダー視点でチェック〜
 男女共同参画社会の実現に向けて様々な取組が行われていますが、進捗状況やその成果は不明確です。そこでジェンダー視点で評価する必要があると考え、子どもたちを取り巻く人々や学校で使われている副読本、行事を対象に調査を行いました。その結果、行事においては企画段階から子どもが主体となり大人はサポートする存在となる必要性を感じました。また、行政内部のジェンダー視点の徹底と連携、市民と行政との協働が不可欠であると実感しました。(長友芳立)

第2分科会 清武町実行委員会
ジェンダーの気づきの窓を開きませんか?
〜自分史づくりワークショップ〜
 ジェンダーについての知識もバラバラでスタートした実行委員会でした。まず100名の方々の人生についての聞き取り調査を進め、その後ライフスタイルや家族構成等の違う7つのサンプルを詳しく調査しました。このサンプルを時代背景や経済動向と照らした時が、ジェンダーに気づいた瞬間でした。そして自らの自分史を書くためのワークシートの作成へ発展し、それぞれのジェンダーを読みとりました。分科会でも参加者の方々に自分史を作成して頂きました。今後もこのワークシートを使ってのジェンダーの気づきを様々な場面で展開できたらと思っています。(近藤慶子)

第3分科会 佐土原町実行委員会
子育てにやさしいまちをめざして
〜多様なライフスタイルに対応した佐土原流子育て支援〜
 子育て中の親が抱える真のニーズに沿った育児サポートと共に、母親自身のエンパワーメントを支援するため、異世代間で支えあうコミニティー「子育てやさしいまち」をめざして、男女共同参画の視点に立った「子育てサポート拠点」の構想を提言しました。参加者は約80名で「サポート拠点」の内容や情報を届ける手法についてが活発に話し合われ、「地区単位の拠点づくりが望ましい」「子育てに父親を巻き込むことが必要」等の意見もでました。(杉田久美子)

第4分科会 高岡町実行委員会
あんたはどんげね? 語っちみろや 自分らしさ
〜井戸端会議で進める男女共同参画づくり〜
 「何だか不条理だな」と思っていること、それを口に出して言うことができない。これが実は「自分らしく生きていたい」という自分に真っ向から立ちふさがる壁なのだと井戸端会議を通して気づきました。会場には外国の方も含め青森県各地から92名の参集をいただき、リアリティを表現した寸劇は共感がもてたと大好評でした。またワークショッブはどのテーブルも大変盛り上がり笑い声が起こるほどでした。お互いの心が開きやすく、コミニーケションがとりやすい井戸端会議方式をこれからも広げていきたいと思います。(黒木厚子)

第5分科会 国富町実行委員会
寸劇で考える男女共同参画
〜家庭におけるジェンダー意識のリアリティ〜
 私達、国富町分科会では、参加者の皆様に寸劇を見てもらい、その中から感じたものを、参加者・助言者・実行委員とで意見交換をしました。参加者の中には県外の方も多数入ってくださり、遠くは岐阜県より来てくださった方もいました。DVに悩んだ方の実情や育児休暇の考え方についてなどの意見もあり、多くの議論をしました。この会場は本当に参加者によってつくられたと感じました。私達実行委員一同、半年かけて少しずつ男女共同参画社会の構築の重要性を認識しつつあるところです。このような学習の場が、宮崎でもたくさんできる事を願います。(菅 英樹)

第6分科会 綾町実行委員会
みんなが力を合わせて参画する住民自治の地域づくり
〜公民館活動からみえてきたもの〜
 綾町では自治公民館活動が定着していますが、さらによりよい地域社会づくりのために男女共同参画の必要性について学習を深めました。
当日はアンケ−ト調査結果を基に問題提起を行い、公民館活動もそれぞれ独自性・地域性があるなかで、県内外の参加者と10グループに分かれて活発な意見交換を行いました。今後、綾町がめざす「住民と行政の協働によるよりよい地域づくり」に大変参考になりました。忙しいメンバ−のため想像以上に大変でしたが、お互いに意識も高まり、男女共同参画社会づくり条例の制定に向け、今後もこの分科会を継続発展してまいりたいと思います。
(日高 正光)

フォーラムを終えて
アドバイザー たもつ ゆかり氏
 昨年の8月から6ヶ月間にわたり実行委員のみなさんとともに過ごした学習と交流の時間を振り返れば、そのひとつひとつの場面、お一人おひとりのお顔が何だかとてもいとおしく甦ってきます。長年、男女共同参画社会づくりに関わる学習の場に身を置いてきましたが、今回ほど、男女共同参画やジェンダーについての学びが「知識」ではなく「感受性」の問題であることをつよく実感したことはありません。実行委員のみなさんのこころの中で起こっていた小さな変化の一瞬に、私はいつも、新鮮な感動を覚えながら立会い続けていたような気がします。この一瞬のゆたかな、そして確かな手応えは、自分とは違う立場を生きる他者への敬意と共感がいかに大切であるか、まさに、そのことを感受するちからを育むことこそが、男女共同参画社会づくりの学びを通して培う「人権」のちからであることに、改めて瞠目させられました。このような機会を与えていただいた実行委員のみなさまはじめ関係各位にこころより感謝申し上げます。ほんとうにありがとうございました。



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